課題整理編

課題整理編

何が起きている?

 これまでの解説をまとめてみると、子ども達が直面している課題は大きく二種類に分けられます。一つはケータイによって、膨大な情報や人とつながる機会が子ども達に与えられたこと。もう一つは、歪んだ動機や、動機なき利用が問題に発展しやすいことです。
 この二つの課題を実際の事件やトラブルに当てはめて、子どものケータイ利用問題の全容を整理してみると、次のようになります。

 子どものケータイ利用問題は大きく3つの領域に分けて考える事ができます。

1. これまで関わりの無かった広い社会と接触する問題
2. 家族や友人など周囲の人が関わる問題
3. 利用者個人の問題

 私たちの社会は、人との関わりによって成り立っています。人と関わることをコミュニケーションと言いますが、ケータイはコミュニケーションの方法を大きく変えた「コミュニケーションツール(=メディア)」なのです。よって、コミュニケーションの存在するところにケータイ利用問題があると考えることができるのです。

 

これまで関わりの無かった広い社会と接触する問題

 近年の誘拐や監禁、殺人事件の中には、通常なら出会うはずの無い者同士が関わるケースが数多く報道されています。出会い系サイトで知り合った、SNSで交流した、オンラインゲームや掲示板で知り合ったなど、インターネットの交流サービスが事件の原因として注目されています。
 また、子どものインターネット利用にはフィルタリングをかけましょうと言われて久しくなりました。これまで気にしていなかった「地域の外の世界」とつながる玄関口が、子ども部屋のケータイ画面に現れたのです。
 ここで、「ケータイは動機を生み出す道具」を思い出してください。普段は成人向け情報や危険な情報にあまり関心が無い子どもも、そうした情報に触れる機会があると興味をそそられます。家出したいけれど、本当に出る勇気が無い子はたくさんいます。そうした子が家出支援をしてくれそうな人とつながると、実行しやすくなります。
 多感な時期にある子ども達は、良くも悪くも影響を受けやすいものです。これまでは情報がなかったことで諦めていたり、気にしていなかったこともたくさんあったはずです。同じインターネットでも、居間に設置してあるデスクトップパソコンなら、家族の目もあるので、意識を持って情報を選択するでしょう。しかし、一人布団の中で画面を見ていると、誘惑に負けてしまいやすくなるのです。
 これまで成人向け図書やタバコ酒類の販売などは、店員の判断で子ども達に販売しないようにしました。しかし、インターネット経由では店員も保護者も目が届かないので、フィルタリングやアプリ制限などソフトウェア(アプリやサービス)の力で壁を強化する必要があるのです。

 

家族や友人など周囲の人が関わる問題

 普段接する家族や友人が関わる問題には、交友関係のトラブルや、信頼関係づくりの問題があります。
 いつでも・どこにいてもつながりあえるケータイは、時に「つながり過ぎる」ことで問題になります。食事中や勉強中の着信、就寝直前の着信、気楽に連絡できることで寂しさや不安を紛らわす為の連絡行為が増えています。会話には場が必要です。家では家のコミュニケーション空間があるはずですが、ケータイは実生活とは別の会話の場を作りました。二つの異なる会話の場に、同時に関わる事になるので、生活が忙しくなります。
 本来なら、自分の生活を乱す着信はある程度無視すればよいものです。しかし、子ども達の間では通信が絆や信頼関係の証として認識されることもあり、信用を失う、友達関係が維持できない、話題に付いていけない、などの不安から、簡単に無視できないのが現状です。
 部活の連絡、遊びの予定なども簡単に出来るケータイを持つことで、計画性や責任の希薄化をはじめ、組織的活動に必要な信頼関係が揺らいでいるのも事実です。思いつきで行動できる反面、計画が立てられない、自分本位の考えになりやすいなどの課題も心配されています。
 さらに、家族関係においても「安心・安全」というキャッチコピーが示すように、通信によって子どもの安全を守ろうとする動きが加速しています。決して安全性を保障したものではないのに、つながる安心が、つながらない不安を増幅させてしまい、いつでもつながることで安心できる心理状況を作り出していると考えられます。いざと言う時には何もできないけれど、持たせないと不安、そんな保護者の心理をくすぐる子ども用ケータイによって、親子の信頼関係や親離れ・子離れのタイミングが揺らぎ始めています。

 

利用者個人の問題

 コミュニケーションツールであるケータイは、主に自分と誰かをつなげる目的で使われます。ですから、「被害者や加害者になる」という問題意識を持ちやすいものです。
 しかし、ゲームのやりすぎで成績が下がる、目が悪くなる、姿勢が悪くなる、記憶が出来なくなる、などの問題は誰が加害者になるのでしょうか?誰にも迷惑をかけていないなら、どんな使い方をしても良いのでしょうか?
 個人的な問題の多くは、問題の定義が難しいのが特徴です。もはや検索が日常化している今日では、記憶力よりも検索力のほうが重要かもしれません。友達と遊ぶなら、ケガやけんかの可能性がある集団遊びよりも、オンラインゲームのほうが安全で快適と考える人もいるでしょう。その人がどのようなケータイの使い方をするのかは、個人の自由なのでしょうか?
 答えは簡単には出せませんが、こららの活動が子ども達の成長や学習、社会人になる為に必要な能力や習慣の習得になるかどうかで、判断することが妥当だと言えます。
 ある意味、子ども達にとってケータイは便利すぎる面もあるのです。迷子になったときの解決手段、分からない時の知恵や工夫など、答えが見えず考える機会があれば、子ども達は努力できます。しかし、簡単に答えが得られる状況では、考えること、考えようと努力することが相対的に空しく感じたり、無駄に思えたりしてしまうものです。その結果、なんでも簡単にすませる習慣が身に付いてしまい、ストレスや困難に立ち向かうこと、失敗を乗り越えること、などの経験が不足したら、将来的にどのような問題になるかを考えておく必要があります。

 

 

 

 

 

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